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Research project

ヒト脳における感覚知覚情報表現の解明

私たち人間は、ものを見たり、聞いたり、触ったりして感覚情報を得ます。 それぞれの感覚情報は、脳に伝わり、情報処理が行われ、どのようなものを見ているのか、 聞いているのか、触っているのかを認識することができます。 私たち人間は、これらの処理をいとも自然に、簡単に、日々行っていますが、 同じことを機械に行わせようとすると、現在の高速なコンピュータをもってしてもとても難しいことが知られています。 果たして、私たち人間の感覚知覚は、どのようにして脳の中で生成され、表現されているのでしょうか?

私たちの研究室では、ヒトの脳の感覚知覚情報のメカニズムを解明するための心理物理実験を行います。 心理物理実験では、厳密に制御された視覚刺激、聴覚刺激、触覚刺激などを使って、 ヒトの感覚知覚現象を定量的に測定し、その結果を統計学や情報理論の技術を使って解析します。

同時に、ヒトの脳活動も計測します。 私たちの研究室では、特に、ヒトの頭部を全く傷つけることなく、頭の外から脳活動を計測する「非侵襲脳活動計測」を行います。 中でも、私たちが得意とするのは「脳波(EEG)計測」と「磁気共鳴画像(functional magnetic resonance image; fMRI)計測」です。 EEG計測を行うことにより、脳の中で起こる神経活動の電気的な変化を頭皮表面から ミリ秒オーダーの高い時間分解能で計測することができます。 また、fMRI計測では、脳の中で起こる神経活動にともなって生じる血流変化を、 ミリメートルオーダーの高い空間分解能で計測することができます。 実験内容に応じて、これらの方法を使い分け、あるいは同時に併用することによって、 調べたい神経活動現象に対して最適な脳活動計測を行います。

脳活動データの解析

脳活動計測で得られるデータは極めて大規模であり、これまでの研究ではデータが含む情報を活かした解析がされてきませんでした。 標準的なEEG計測でもfMRI計測でも、毎秒10の4-5乗程度の次元を持つデータが得られます。 これらデータはあまりにも大規模で高次元なため、従来の研究では、データに含まれる情報の大部分が捨てられていました。 例えば、fMRIデータのこれまでの典型的な解析方法は、各脳部位ごとでの信号の強弱を独立に調べるものでした。 2秒間程度計測すれば、全脳で10万点もの脳部位でのデータが同時に得られるにもかかわらず、 それぞれの計測点間の相互関係の情報は全く考慮されていないことになります。

私たちの研究室では、このような大規模脳活動データが持つ情報を最大限活用した解析を行います。 解析の一つの例は、機械学習を用いた脳活動のパターン解析です。 脳活動を多次元のパターンとみなして、 その脳活動パターンとその脳活動パターンを生成した実験条件との関係をコンピュータに学習させます。 コンピュータの学習の仕方を詳細に調べることにより、脳活動にどのように情報が表現されているのかを知ることができます。

医工学分野への応用

コンピュータは実験条件と脳活動との対応関係を学習しているので、この学習したコンピュータに脳活動を入力すると、 その脳活動がどのような実験条件のもとで生じたものかを予測することができるようになります。 後者の特長は、ブレイン-マシン・インタフェースなどへの応用としても有用なものです。性能のよい解析方法を開発することにより、 脳活動で制御する義手や、考えていることを画像化するシステムなどを作ることもできるようになるかもしれません。

研究キーワード

脳活動計測(主にfMRI と脳波)、心理物理実験、機械学習、視覚、触覚、聴覚、脳、神経細胞、 モデル、デコーディング、データ・マイニング、ブレインーマシン・インタフェース、 ニューラル・ネットワーク、ヒューマンインタフェース、医用生体工学、 コンピュータ・グラフィックス、コンピュータ・ビジョン、自然言語処理など